2019年4月クールドラマ「ストロベリーナイト・サーガ」。2010年、2012年に竹内結子主演で放送されヒットした「ストロベリーナイト」のリメイク版です。今作は竹内結子版のキャストを一新し、二階堂ふみと亀梨和也のW主演となっています。
竹内結子版「ストロベリーナイト」を観ていた方は、竹内結子版でのキャストのイメージが当然強いですよね。竹内結子版のキャストがハマり役と評判だっただけに、二階堂ふみ&亀梨和也版のキャストが高く評価されるのは安易なことではないというのは言うまでもありません。実際、亀梨和也演じる菊田のイメージが違うという意見が特に多くあります。
そこで今回は、亀梨和也と西島秀俊の菊田を比較します。
西島秀俊の菊田がハマり役と評判だった理由
まずは、西島秀俊の菊田がハマり役と評判となった理由についてみていきましょう。最初に、菊田の年齢やキャラ設定からみていきます。
菊田は、警視庁捜査一課殺人犯捜査十係巡査部長で年齢は36歳という設定。十係主任の姫川玲子の年齢設定は30歳ですので、玲子にとって菊田は年下の上司ということになります。竹内結子版「ストロベリーナイト」の初作品であるパイロット版が放送された2010年11月13日時点で西島秀俊は39歳でしたので、年齢設定36歳の菊田役に西島秀俊を起用したのは妥当でしょう。
連続ドラマ版が放送された2012年1月には40代に入っていますが、前途したように菊田は「玲子より年上の部下」という設定だったことから、年齢的な違和感は感じること無く観れました。むしろ、パイロット版の時よりもさらに玲子との掛け合いも自然となっていたように思います。自分はドラマ版を観てから誉田哲也さんの原作を読んでみたのですが、菊田は西島秀俊さんで大正解だったと思いました。
次に、菊田のキャラ設定について。
菊田は、謹厳実直で寡黙な性格という設定です。このキャラ設定も西島秀俊に非常に合っていたのではないかと思われます。
当たり前ですが、役者には色んなタイプの方がいますよね。菊田のような真面目な役が似合う役者さんもいれば、チャラい役が似合う役者さんもいます。この2つのタイプのうち西島秀俊がどちらに分類されるかと言ったら間違いなく前者でしょう。ちなみに、後者は三浦翔平や岡田将生あたりがそこに分類されると思われます。
よって、年齢設定やキャラ設定のどちらから考えても菊田役に西島秀俊は適役でした。小説などをドラマ化した場合、原作のイメージと演じる役者さんが合わないと感じてしまうことも珍しくありませんが、西島秀俊演じる菊田は原作のイメージ通りであったと言えるでしょう。
菊田の年齢やキャラ設定に亀梨和也はハマっているのか
次に、亀梨和也は菊田役に適しているのかについてみていきます。まずは、亀梨和也は「ストロベリーナイト・サーガ」放送開始の2019年4月時点で33歳。菊田の年齢より3つ下となります。菊田の設定が玲子より年上の部下という設定であることを考えると、亀梨和也に菊田役は若すぎるのでは?と感じてしまうというのが正直なところです。
ただ、年齢に関して竹内結子版「ストロベリーナイト」とは大きな相違点があります。「ストロベリーナイト」のパイロット版が放送された当時、竹内結子は30歳でした。つまり、玲子の年齢設定とちょうど一緒です。
それに対して、「ストロベリーナイト・サーガ」で玲子を演じている二階堂ふみは2019年現在24歳。菊田役の亀梨和也と9個離れていることになります。よって、演者の実年齢を考えれば本来亀梨和也が二階堂ふみ演じる玲子の年上部下である菊田を演じるのは違和感はないはずなのです。
今回の「ストロベリーナイト・サーガ」では玲子と菊田の年齢は公式サイト等の説明の中で記載されていません。ですから、竹内結子版「ストロベリーナイト」と全く同じ年齢設定ではないと考えることも出来ます。ですが、27歳で警部補に昇任したという設定は変わっていないため、二階堂ふみ演じる玲子が原作や竹内結子版「ストロベリーナイト」での玲子の年齢と大きく離れているということは現実問題考えにくいです。少なくとも、27歳で警部補に昇任したという設定の時点で二階堂ふみの実年齢より年上であることは確定していますし。
また、二階堂ふみ演じる玲子のキャラも竹内結子演じる玲子とキャラが一緒であることからしても、二階堂ふみ演じる玲子が20代である可能性は低いでしょう。
よって、亀梨和也演じる菊田に違和感を覚えてしまうのは、こういった菊田の設定における問題が大きいと考えられます。
西島秀俊と亀梨和也の演技力の比較
次に、西島秀俊と亀梨和也の演技力や2人が醸し出すものについてみていきましょう。
まず、西島秀俊は前途したように真面目な役が似合う役者さんですが、ワケアリで胡散臭くてどこか怪しい感じの役が非常に似合うという印象があります。例えば、「奥様は、取り扱い注意」で彼が演じた伊佐山勇輝がそれです。
勇輝は一見綾瀬はるか演じる伊佐山菜美を支えるいい旦那ですが、何となくワケアリで怪しい雰囲気を初回から出していました。すると案の定、予想は的中。勇輝は、菜美を監視している公安の人間でした。
この胡散臭い感じは西島秀俊にしか出せない雰囲気です。こういった個性的な演技で視聴者を魅了する西島秀俊は、やはり演技力が高いと言えます。
では、亀梨和也の演技力はどうでしょうか。ここまで書いてきたように、亀梨和也演じる菊田に違和感があるのは設定の問題というのが大きいと思われます。ですが、それだけではなく亀梨和也の演技も関係していると思っています。
とは言っても、亀梨和也の演技力が低いというわけではありません。
亀梨和也の演技には陰りがあるように感じます。重い過去を背負ってるような印象を受けるのです。実際、亀梨和也が担当している主題歌「Rain」は菊田の葛藤を描いた歌詞となっていることから、亀梨版菊田は影のあるキャラだということを視聴者に印象付けようという意図もあるのでしょう。
一方、西島秀俊版菊田はあまり陰りのあるような印象は受けませんでした。彼独特の雰囲気を出しつつも、いい意味で普通の中年男性という印象。故に、亀梨版菊田の印象とは異なります。
ですから、どちらが演技力が高いか?ということではなく、西島秀俊版菊田と亀梨和也版菊田はもはや全く別のキャラとして存在しているのです。ですから、原作や竹内版「ストロベリーナイト」を知っている方からしたら亀梨和也版菊田に違和感を感じるのは当然のことですよね。
そもそも、原作者の誉田哲也氏は「ストロベリーナイト・サーガ」のキャストをフジテレビから聞いた時、フジテレビは全く新しい「ストロベリーナイト」を作りたいんだという意気込みを感じたと「ストロベリーナイト・サーガ」の公式サイトにコメントを寄せていました。この誉田哲也氏のコメントから、フジテレビは「ストロベリーナイト」をリメイクするにあたり、竹内版「ストロベリーナイト」に迎合しない作品を作ることを目標にしていたことが分かります。
となると、亀梨版菊田に違和感を覚える視聴者が出てくることも当然フジテレビは覚悟の上だったのではないでしょうか。その違和感があるという意見が出てくることを承知の上で、全く新しい菊田を作ることを目指していたのだとすれば、フジテレビの戦略はある意味成功したと言えるでしょう。
個人的には、今回の「ストロベリーナイト・サーガ」が本当の意味で評価されるのは後半だと思っています。年齢といいキャラといい設定がここまで違っているのなら、違和感を感じる視聴者が出てくるのは極めて自然なこと。すぐに慣れるはずがりません。
ですが、回を重ねればその違和感が薄れてくる可能性は十分にあります。亀梨和也の演技力なら、それができる可能性は極めて高いのではないでしょうか?
まとめ
今回は、亀梨和也と西島秀俊の菊田を年齢やキャラ設定、2人の演技力から比較してみました。
個人的には、回を重ねるごとに亀梨版菊田もハマってきていると感じています。最終回を向ける頃にはもっとよくなっている予感しかありません。
「ストロベリーナイト・サーガ」、最後まで見届けたいですね!